製造業ブランディングについて
製造業に於けるブランディングデザインの重要性
今回のミッション/ご依頼の経緯
1937年創業。其れから約1世紀、先人達の哲学や技術を継承し、
創業以来変わらぬ「全ては高い品質のために」という旗幟鮮明なイズムがある。
その歴史あるイズムを余す事なく1つの一貫したデザインへとアウトプットし、
株式会社ナカヤマという1つのチームを表現するものとして、
時代を跨いで行きたいという想いをお受けし本プロジェクトはスタート致しました。
本プロジェクトは非常に多岐に渡り、
軸であるロゴから、ホームページ、ECサイト、写真撮影、映像制作、パッケージデザイン全種、
会社パンフレット、製品パンフレット、製品リーフレット全種、封筒、名刺、カレンダー、業界紙デザイン、制服、展示会。
また社外に出る見積書・請求書・納品書・プレゼン資料をはじめとする、
ロゴを使っているツール全てもディレクション、有りと凡ゆる全てのものを一貫してデザインしております。
ここで1つ肝心なことはどんな細かな小さなツールまでも目を配るということ。
請求書なんて書面の上部に大体のサイズでロゴ貼り付ければ大丈夫かなと
デザインの知識が薄い担当者様が貼ってしまうと大問題です。
ブランドは小さな連続で成り立っています。
その小さな連続を1つ1つ丁寧に積み上げてくこと、これが真のブランディングとも言えましょう。

デザインのプロセスと解剖





<ロゴコンセプト>
世界一の称号。
世界一の品質、切れ味を誇る、株式会社ナカヤマ様のトムソン刃。
歴史や文化を重ね、チームで「世界一」を勝ち取った称号を守り続け、
トップを走り続ける株式会社ナカヤマ様。
その全ての要素を、1つのコーポレートアイデンティティとして表現致しました。
険しい斜面に一歩一歩、足を前に出し進んでいく。
登り進める中で、大なる困難や、苦悩。
そして感動や悦びこそが株式会社ナカヤマ様の歩みであり、歴史であり文化である。
振り返るとチームで登ってきた一歩一歩の力に気づき、
トムソン刃の製造業界という山の頂きに立っている様相をデザイン。
また、山を重ねているデザインは1つの山を登り切ったことに満足することなく、
「革命の上に革命を重ねる」といった意があります。
慢心すること無く、常に攻めの体制を崩さない。
株式会社ナカヤマ様が本当のチャンピオンである由縁をアウトプットしました。
またジャパニーズブランドとして、世界に向けたメッセージも織りこんでおります。
日本らしい繊細で雅な線のフォルムで「丁寧さ」や「技術の緻密さ」を表し、鋼色に尖った刃先は、
株式会社ナカヤマ様のトムソンの様に美しい切れ味で鋭く、時代を切り開いていく様を表しています。
多くを語らずして、不動のトップを表現し、且つ世界一の刃の切れ味を形取る高級さも感じれるロゴデザイン。
また「中」「山」という文字のインスプレーションでもあり、
今回のロゴの形状で「中山」という文字が描くことが出来る。
また、この3本ラインは美の黄金比率で成り立っており、1.618:1という黄金比率をベースに、
「1」に対し「0.618」。「0.618」に対し「0.382」。
この「1」「0.618」「0.382」という美しい比率数値を割り出し、「線の太さ」「面積」に
それらを当て嵌め、美しい形状を生み出しております。
最後に3本のライン、三角形などの「3」という数字には、「拡大していく」「創造性」という意味があり、
非常に縁起の良い数字で、ピラミッドの側面からエジプトにおいて3は神聖であるとされ、
キリスト教では神、聖霊、子の三位一体、
仏教においても三種の神器(鏡、勾玉、剣)や、坐禅の結跏趺坐。
3点のバランスは美しく完璧。
シンメトリーで何処から押されても倒れない。
それどころか微動だにしない今回のロゴは株式会社ナカヤマ様の未来をも現しております。
株式会社ナカヤマ様の仕事と同じく、見えない拘りの詰まったデザイン。
過度に装飾せず、究極にシンプルな世界一を表す形。
この世界一の称号を皆で掲げ、何十年、何百年と歩んでいただけたらという想いでデザイン致しました。




<KEEN>
鋭い、鋭さの極み、鋭敏な、洞察力のある、頭の切れる、厳しい、身を切るような、強烈な、激烈な、強い
メッセージとしては「鋭い刃の極み(頂点)の象徴」それが株式会社ナカヤマである。
本スローガンである、「TOP OF KEEN」に到るまで様々なコピーを思案。
「切れる/CUT」では当然切れるのですが、鋭さが其処には存在せず、ただ動としての切れるだけを意味しニュアンスが異なる。
世界一のトムソン刃、世界一切れる、世界一の鋭さという意味合いで考えを深め、「TOP OF EDGE」などと進めましたが、
何か言葉としての重みの気配や響きが足りない。其処でまた振り出しに戻し、「KEEN」という言葉に辿り着き、これだと。
「KEEN THE TOP」「TOP OF KEEN」と最終悩んだが、
後者である「TOP OF KEEN」の方がより語彙としての迫力、音の響きが感じられ最終決定に至った。


















愛情が籠められた製品に服を仕立てる。
製品を包むパッケージは製品づくりの最後の仕上げとも言えましょう。
「B to Bだから直接顧客に見えないので製品が入る段ボールなら何でも良い!」ではない。
職人さん達が手塩を掛け、製造された製品。
長い年月に渡り、研究に研究を重ね、生まれた結晶。
その結晶である製品を、価値あるものとして世に輩出したい。
我々も服で着飾るように、製品にも服を仕立てるのである。
製造業に於けるパッケージデザインがもたらすブランディングの重要性は非常に高く、
デザインを纏うことで製品そのものの見え方の価値を高めることに寄与したり、
製品を製造している職人さん達のモチベーションに大きく関わる。
想像すると容易いが、会社の社長がもし「製品が入る段ボールなら何でも良い」と言われたら
製造している職人さんたちはどう感じるだろうか?
反対に、自分たちの製造しているものを会社が大切に考え、其れを大切に包みたい。と言われたら、
当然ながら嬉しく感じるだろうし、これからも良い製品をつくり続けなければならない。
とモチベーションに必ず関係する。
製造され、生を受けた製品を愛し「いってらっしゃい」という気持ちで送り出せる。
それがパッケージデザインの役割ではないだろうかと私たちは信じている。



























































製造業の多くは、技術的な部分がニッチであったり、専門的で解釈に難しく感じる部分も多い。
だからこそわかりやすく咀嚼し、デザインでわかりやすくアウトプットし世界観を演出する事で、
一瞬で興味を惹く引力を纏い、立ち寄ったお客様を釘付にし、不動にするのだ。
兎にも角にもこのブースのセンターにあるアイデンティの演出に重きを置いた。
鎮座し、語らずともナカヤマの世界観を一瞬で表す。
右サイドには新しく刷新した、整列性を持ったパッケージのディスプレイ。
左サイドにはブランドムービーを始終再生し、その直下には「ナカヤマの拘り」を展示会用にリライトした。
ブース前方にある展示台は、側面だけではなく、天板全体にもグラフィックデザインを施し、
新製品である刃物が美しく収まるように台をくり抜き、2本だけ配置した。
またフライヤーもおきたいとのクライアント側の要望に、そのまま台の上に置くと
凹凸のない面の審美性に影響が出ることを考慮し、フライヤーに寸法を合わせて台をくり抜き、収まりを設けた。
本展示会でもう一つ匠心独運した発想である奥のスペースは、
ナカヤマウェブサイトでも登場する
https://nakayama21.co.jp/art_of_nakayama/
ART OF NAKAYAMA
というコンテンツを実体験化したものである。
工場で聞こえてくる様々な場所で作業音を録音し、それらを組み合わせ作曲した。
ある一定の規則性で鳴る、ナカヤマの歴史や文化的背景を感じる芸術的な作業音、
そしてそこから生まれる綺麗に形取った製品だけではなく、
その生まれ行くまでに至ったピース、生まれた瞬間に生まれたピース全てに「生」が存在すると感じ、
それらに耳と目を向け直感的に表現した。
非常に大事なことだが、製造業に限らず、「企業とアート」はこれからの非常に重要なテーマとなると予想する。
製品そのものだけではなく、その生まれゆく背景全てを抽象的に表現することで
企業の感性を感じ、また同時に豊かさも感ずる。
製造業の多くの展示会は所狭しとプロダクツや技術を可視化したものが
満員電車のようにギュウギュウに敷き詰められ、美しさとは相反する表現方法が多い。
「低単価で質より量」というコンセプトならそれが正解の場合もあるが、
本件のように「高単価 量より質」というベクトルにある以上、並べたら良いというものではない。
1つ1つ削いでいくという行為を行いながら、
同時に引力は高めるといったクリエイティブが求められる。













チームの道標。意地とプライドを背負って。
武田信玄の赤い軍団「赤備え」。
戦国時代屈指の強さを誇った武田軍の代名詞は「赤備え」と呼ばれ、
甲冑や武具を赤色に統一し、勝利を重ねていった。
またアドルフヒトラーも然り。
しっかりと仕立てられた制服は、人々に強烈な印象与えることができる
という深層心理を熟知した上で、あの軍服らしからぬタイトなシルエットを実現した。
ナカヤマ様の哲学である、「世界一の品質を安定供給する」という
強い責任感とプレッシャーを背負い、世の中に対して約束を果たす。
ヒアリング時に社長の中山様が「個ではなく、チームとして世界一に」。
と仰っておられたことが印象的で、その強い思いを掲げたチームを象徴するべく、
胸元にシンボルであるロゴと共に、ナカヤマ様の哲学を刺繍した。
刺繍となるとある程度のラインの太さは担保しなければならないという
物理的問題の壁には当たるが、幾度となくプロトタイプを製造し、
デザインの審美性を表す為の文字のディテールには特に意識し、
創り上げたブランドイメージに沿うように
チームナカヤマのユニフォームの世界観を演出している。
ジャケットの着丈も通常の作業用のジャケットより約115%ほど長く、
作業面での安全面も考慮しつつ、通常の作業用ジャケットの野暮ったさを取り除くような、
善き意味での、製造業らしからぬデザインを配した。
<ウェブデザイン/Instagramデザイン>













ナカヤマ公式サイト<国内>
https://nakayama21.co.jp/
ナカヤマ公式サイト<海外>
https://nakayama21.co.jp/en/
ナカヤマ公式オンラインストア
https://nakayama-onlinestore.jp/














































日本の職人に光を。

製造業に於けるブランディングの最重要ポイントは伝統と革新の調和。
今までの歴史や文化、守り続けられた哲学、伝統的な熟練された技術。
と同時に生き残っていく為の革新、所謂変化とも向き合って行かなければならない。
「生物は不変ではなく、環境の変化に適応して次第に変化する。
そして最も強いものが生き残るのではない。最も変化に敏感なものが生き残る。」
イギリスの自然科学者であるチャールズ・ダーウィンの進化論でもあげられているように
全てを固執するのではなく、変わるべき所は変えなければならない。
そうでなければ自然と淘汰されていくのが世の常である。
前述した、今までの歴史や文化、守り続けられた哲学、伝統的な熟練された技術。
は普遍的に存在し、大切に捉える必要がある。
その礎に重きを置きながら、ハード面ではまだ見ぬ新技術への挑戦や、最先端ITを駆使した技術革新、
ソフト面であればブランディングを施し価値の見える化に取り組んだりと、時代の流れと共に変化すべきところがある。
一昔前までは「製造すれば売れる」という奇跡的な時代もあった。
また価値を丁寧に伝えずとも売れている時代があった。
しかし時は流れ、2025年に其れは通用するだろうか。指を加えて待っていて価値は伝わるだろうか。
それが環境の変化に対応するということ。変化に敏感なものが生き残る。という意である。
だからこそ、重要なことは「価値の発見と価値の見える化」に取り組むべきなのである。
つまり、我が社の歴史やこだわりをきちんと整理し、それらをわかりやすいように咀嚼し、
それらをデザインで装飾し、お客様に価値を伝える。
まだまだ製造業全体を通しても本当のブランディングに取り組めている企業は少なく感じる。
何となくずっと残っている意味の説明できないロゴは、社員全員が意味の説明できるロゴにすべき。
また、とりあえず着れれば良いと揃えた制服は、社員様がモチベーションが上がる誇れる制服にすべき。
古びたホームページは、会社の拘り、歴史、社員様が格好よく働く写真が多いホームページに変えるべきでしょう。
会社全体が変化するという意思表示を示し、社長を筆頭に社員全員でその変化という波に乗っていく。
守るべきものは守り、変えるべき所は変える。
伝統と革新の調和。
変化をポジティブに捉え、永続する企業へと歩を進めましょう。





所在地:〒544-0012 大阪市生野区巽西2丁目1番19号
https://nakayama21.co.jp/
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